08/10/15

あの青空に祈りを捧げ 第25話

・親父プロジェクトその3〜過去〜



*

「さて、何かわかったのか?」

俺と俊之君はテーブルに向かい合うように座っていた。

「はい。颯太は、病院に入院している女の子と会ってました」

「そうなのか……因みに、何で入院しているんだ?」

「すいません、それはいえません」

「そうか……まぁ、これ以上深くは突っ込まないでおこう。けど少し、俺の友人の話を聴いてもらってもいいかな?」

「別にいいですよ」

*

その男には幼馴染みが2人いた。男と女の2人。その女の方は生れつき体が弱くてな、ことあるごとに風邪をひいていた。

特に、季節の変わり目とかな。その男と幼馴染みの男はその都度、見舞いに行っていた。とても心配だった。何時もいつも風邪をひいて……その関係が高校くらいまで続いた。

それでも幼馴染みの女は相変わらずだった。やはり男2人は見舞いに行っていた。心配という気持ちは何時しか恋にまで発展しようとしていた。

その頃から、男2人は幼馴染みの女とよく会うようになっていた。

最早彼女争奪戦と呼んでもおかしくはない光景だった。

しかし、3人でいたときに突然女の容態が悪化した。すぐに病院へ運ばれ検査をした。肺に悪性の腫瘍が出来たとか。男2人は部外者として追い出されたからよく知らなかった。

すぐに手術が始められた。この手術は成功に終わったのだが、ガンの可能性をありえるらしく、再び悪化する事があるということだった。

男達は女をさらに気遣うようになった。むしろ、何時倒れてもいいように男2人が交代して一緒にいるような感じだった。

何時の日か、男が2人だけであった日に幼馴染みの男がその男に言った『あいつはお前と一緒にいるのがいい』と。

高校・大学を経て、幼馴染みの男にバックアップをされながらも、その男と幼馴染みの女は結ばれ、子どももできた。

そんな、幸せな日々が続いていたが、子どもが小学校3年のことだった。

女の病態が悪化した。全身にガンがまわっていたのだった。抗がん剤でどうにか命を取り留めたが、副作用によって髪が抜け、子どもは近寄らなくなってしまった。

子どもは母親を疎遠して、中学2年生になったばかりだった。

男と女が2人きりでいたときに、限界が来た。

女は逝ってしまった。男は後悔した。子どもも後悔した……

*

俺は言葉がつまり、涙が出てきた。こんな適当にまとめた過去なのに……

「もしかして、この話っておじ……」

「いいや、嘘ついて悪かった……」

俺はテーブルに伏せた。彼女との思い出をもう一度、思い出した……

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