07/11/17
ボクはネコ
3匹のネコが一軒家の屋根にいた。
「僕はネコ」
「ぼくはネコ」
「ボクはネコ」
1匹は大人しそうな感じ。1匹はとぼけてそうな感じ。1匹はやんちゃな感じ。3匹はお互いの確認をして、楽しそうにしていた。
「君は誰?」
3匹は同時に聞いた。そして、順番に答える。
「僕もネコ」
「ぼくもネコ」
「ボクもネコ」
笑い声が響いていた。すると1羽の黒い鳥が飛んできた。3匹の事を見ていた。それに気がついて、3匹は聞きます。
「君は誰?」
黒い鳥は答えます。
「俺はカラスだ。この翼でこの空を自由に飛びまわるんだ」
カラスは翼を自慢するように大きく広げた。
「ぼくらも飛べるかな?」
「それは無理だな。お前達には翼がないからな。俺、そろそろ出発するな。縁があったらまた会おう」
カラスは飛んでいった。
「翼かぁ。いいな、翼」
3匹はお腹がすいたので、屋根から下りて食料を探す事にした。
暫く歩くと、よく見かける動物を見かけた。そして。
「君は誰?」
すると、その動物は答えました。
「私は犬。人間っていう生き物に飼われているの」
犬はあまり面白く無さそうに尻尾を振った。
「ニンゲン? ぼくらも飼われるかな?」
「それはやめた方がいいよ。君たちみたいに自由じゃなくなるからね。けど、優しくっていい生き物だよ。あ、そろそろ行かなきゃ。ごめんね」
犬は去っていった。
「ニンゲン? ニンゲンって何?」
3匹が歩いていると、大きな生き物が3匹を見つめていました。
「君は誰?」
3匹が聞くと、その生き物は大人しネコの首を掴むと持ち上げました。
「俺は人間という、ひどい生き物だ。こんな感じにな」
人間は大人しネコを地面にたたきつけた。すごい痛そうに横たわった。2匹も逃げようとしたが、既に遅かった。
おとぼけネコは蹴られ、やんちゃネコは持ち上げられ何度も殴られた。
「今日は、このくらいにしてやる」
そして、人間は去っていった。
「これがニンゲン? これが……」
傷ついた3匹は疑問を持っていると、また、大きな生き物がやってきた。
「え? こんなに傷ついて……」
その生き物は1匹1匹優しく抱き上げ、手当てをした。そして、手当てが終わると、1匹ずつ頭を撫でた。
3匹は聞いた。すると、大きな生き物が答えた。
「僕は人間さ」
「人間って、酷い事をする生き物じゃないの?」
その人間は、寂しそうな目をして。
「確かに、人間は酷い生き物さ。けれど、僕はひどい事をする人間が嫌いだ。僕も人間なのに変だよね」
その人間は、立ち上がって言った。
「君たちは家があるかい?」
「ないよ」
「もし良かったら、僕の家に来ないかい? 誰もいないし、自由に出入りできるようにするし、ご飯だっていつでもあげるよ」
その人間は手を差し伸べた。
「うん」
3匹は嬉しそうにうなずいた。
「じゃあ、行こうか」
人間と3匹は夕陽に向かって歩いていった。
「君は誰? ぼくたちはネコ。いい人間に飼われているネコ。」
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