08/04/04
突出幼心あくりょうちゃん 第17話
〜最終任務あくりょうちゃん 第1話〜
温泉旅行から帰ってきて、数週間。僕たちは何事もなく夏休みをエンジョイしていました。
しかし、エンジョイしすぎた結果……
「うお〜終わらねぇ」
義樹がテーブルに伏せました。
「私は、後数学だけね」
と、春香。
「僕は、後……」
って、あくりょうちゃん? 何で鎌を持ってるの? そして、何で振りかぶってるの? ごめん、構ってあげられなくてごめん。でも、あくりょうちゃんが嫌いなわけじゃないよ。だから許して、振らないで。お願い。お願い。あぁ……。
僕は縦に半分になって、床に転がります。
「あくりょうちゃん。ちゃんと直しておくんだよ?」
「わかった!」
今は、何故か春香の家で勉強会をしています。僕・義樹・春香・白井さん・あくりょうちゃんと大人数が集まっています。後3日で夏休みが終わります。急ピッチで宿題の処理。これが、勉強会の目的です。
「ねぇ、白井さん? 終わった?」
春香が白井さんの宿題テキストを覗き込みます。
「完答すると不審に思われるので10パーセントの割合で間違えてある」
「……そうなんだ」
表情やトーンを変えずに答える白井さん。苦笑いして返答の返事をする春香。そりゃそんなこと言われたら……しかも、白井さんの文字は新聞の活字のような字ですし。というか、あくりょうちゃん? 僕を放置して、僕の麦茶飲まないでよ。
「にはっ♪」
まぁ、いいか。
そして、宿題を終えみんなでくつろいでます。春香は何かの雑誌を広げて読んでます。
「何読んでるの?」
僕は横から聞きます。あくりょうちゃんも興味深そうに覗き込みます。
「これ、今度みんなで行きたいなって」
雑誌には『今でも間に合う沖縄旅行』とあります。後3日では今からは間に合いませんよ。でも、いいかもしれない。
「そうだね」
僕は返事します。春香は一枚の写真を指差します。
「これ、綺麗だよね」
その写真に写っているのは『星の砂』です。砂が星の形になっていて綺麗です。
「本当に綺麗だね」
と、あくりょうちゃんが目を輝かせて見てます。
「あくりょうちゃんもそう思う?」
春香が聞くと「にはっ♪」と笑みを浮かべて答えました。
「欲しいな。星の砂」
「そうだね。今度行ったときたくさん拾ってこようよ」
暫くもしないうちに解散して、僕とあくりょうちゃん・義樹・白井さんはそれぞれ自分の家に帰りました。
僕はまだ気がつかなかった。その日の夜……
――あくりょうちゃんがいなくなった。
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