08/01/04
突出幼心あくりょうちゃん 第12話
〜温泉旅行あくりょうちゃん 第4話〜
「ようこそいらっしゃいました。女将の『白井』でございます」
女の人の中で真ん中で待っていた人がそういいながら一礼をして、それに続いて残りの人たちも礼をする。僕らは気持ち、少し引いてしまいました。一応、僕らも礼をします。
「よろしくお願いします」
と、いいながら。
「では、お部屋のご案内をさせていただきます」
「あ、はい」
僕らは同時に返事をして、『女将』の白井さんは立ちあがりました。靴を脱いで、収納する場所に入れて玄関から上がります。
「では、こちらです」
『女将』の白井さんに続いて、廊下を歩きます。外から水の出る音がして、時折『カポーン』と音がします。とても和風です。
「あのさぁ、白井さん」
歩いている途中に僕は『クラスメイト』の白井さんに話しかけました。
「……何?」
『クラスメイト』の白井さんは静かに答えました。義樹や春香も耳を傾けています。
「ここの女将さんって、白井さんの親戚か何かなのかな?」
「うん……伯母さん。父の姉」
「へぇ、そうなんだ」
そんな会話をしているうちに、部屋に着いたようです。
「こちらでございます」
『女将』の……女将さんは部屋の襖を開けました。僕らは部屋に入ります。それなりに大きな部屋で畳のいい香りがします。とても和風です。
「ではごゆっくり、仲良くどうぞ」
女将さんは正座をしながら、襖をゆっくり閉めました。仕事は仕事とけじめをしっかりしていてすごい人だと思いました。
「ふわぁ、何か和むなぁ」
春香はさっさと荷物を置いて、ねっころがっていました。僕らも、荷物を部屋の端に置いてくつろぐ事にしました。義樹と僕は窓の近くにある椅子に向かい合うように座り、白井さんは部屋の隅に座って小説を読んでます。
外はオレンジ色の空が広がっていました。腕時計を見ると、短針が5、長針が12を示してました。
「おっ、こんなとこに囲碁があるじゃん。な、やろうぜ」
義樹が、押入れから碁盤と碁石を取り出してきました。
「あ、いいよ」
僕と義樹の間の机にそれらを展開して、囲碁を始めます。
――そんな事をしていると、アッと今に時間が過ぎていって、19時。夕飯の時間となったようで、夕飯が準備されていきます。部屋の中心にあったテーブルに4人分の料理が並んでいます。
「じゃあ、食べよっか」
春香はさっさと、席についていました。僕らはヤレヤレと思いながらも席に着きます。
「いただきま〜す」
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