07/09/08

突出幼心あくりょうちゃん 第1話

『あくりょうちゃん』。彼女の名前は僕がつけました。浮いているので多分幽霊です。

何故、こんな僕が幽霊らしき女の子を知っているかというと……話すと長くなりそうですが、一応お話をします。



――それは、数日前。

僕の名前は『大板 優(おおいた すぐる)』、IQ200の超天才だが記憶力は悪く親は仕事もせずに1日中ぐうたらして超貧乏……という訳ではなく、平凡な家庭で平凡な学校へ行く平凡高校生です。

誰に話しかけているのか考えると、これは夢だと気が付きました。今日は月曜日。睡眠時間は十分そうなのでそろそろ起きる事にします。

目を開けると僕は僕の部屋のベットの上にいました。一人です。当然です。まぁ、まだ眠いので眠気覚ましに寝返りをうってみると、そこには白い壁……ではなく、真っ白な髪の真っ白な肌で真っ白な服を着た女の子がスースー寝息を立てて寝ていました。

「ひゃあ!」

僕は驚きのあまりにベットから飛び出して、身構えました。すると、彼女は目を擦りながら起き上がりました。背丈は僕と同じくらいで特に変わりはありません。ただ、この時点で一つ違うところがあるといえば、『浮いている』のです。足が地についていない事です。そして、僕と彼女は互いに目を見たまま硬直状態。

その硬直を先に破ったのは彼女でした。何処にしまっていたのか背中から彼女の二倍ほどの大きさの鎌を取り出したのです。で、どうしたかというと、僕に向かって大きく横に振ったのです。

音も無く僕の腹部を通過。痛みも無く僕はその部分を触れてみます。次の瞬間、僕は何もしていないのに視界が前屈み見たいな体勢になって、床に激突。その後にもう一つ床に落ちる音。僕、斬られたの? 僕、このまま……

「にはっ♪」

そう考えていると、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべて僕に近寄ってきたのです。僕は自由の利かない体で彼女を観察する。彼女は僕の下半身を立たせると、今度は上半身を持ち上げてドッキングをしたのです。無理矢理ねじ込んでいるようで非常に生々しい音が聞こえてきます。

彼女は僕を適当に固定すると彼女は背中から五寸釘程度のサイズの針を取り出して、僕の下半身と上半身を縫い始めました。

「ぬいぬいっ♪」

彼女は器用に縫っていき僕は無事治されたのです。傷跡は全くありません。僕は彼女の顔をもう一度見ました。

「にはっ♪」

それに反応するかのように笑みを浮かべるのです。まるで純粋な子どものように……

――そのときの僕は彼女が悪霊のようにみえた、だから彼女は『あくりょうちゃん』

けど、今になってはこの名前は間違っているような気もします。

それ以降、彼女はどんな時も僕のそばから離れずにいつも一緒に行動するようになりました。

そして、僕の危険な毎日が始まった……

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