08/02/23
神サマの探し物 最終話
「涼太君!」
美鈴が心配そうな顔をしてこちらに近寄ってきた。
「あぁ、なんとかな」
俺は頭をかいて立ち上がった。倒れこんでいる上尾の近くに澪は腕を組んで立っていた。表情は誇らしげであった。
俺は澪の元まで向かった。
「あんた、大丈夫なの?」
「あぁ、なんとかな。とりあえず、こいつをどうにかしないとな」
とか、ぬかしていると上尾が意識を取り戻した。
「……何故俺が負けたんだ」
ボソッとつぶやいた。俺も澪も同時に言った。
「これが、『友』の力だ」
上尾は呆れた感じの笑いを浮かべて、ゆっくり起き上がった。
「そうか……今回は、俺の負けを認めよう。だが、次は……」
突然、世界が色を取り戻した。上尾もあの銃も姿を消し、俺達は道にただ立っていただけだった。
「何だったんだろう……」
俺がため息をつくと、澪がツンツンと俺の腕をつついた。
「何だ?」
「……」
澪は目線をそらして、照れくさそうに。
「ありがと。涼ちゃん(りょうちゃん)」
と、言った。涼ちゃんって言うのはやめて欲しいが……
「じゃあ、帰りますか」
その後3人は何事も無かったかのように美鈴の家へ向かう事にした。
――そして、数日が経った。
「おかわり!」
そう言って、茶碗を差し出す澪。
「はい」
その茶碗にご飯を盛って手渡す母親さん。それ、10杯目ですよ。
「何? 涼ちゃん。私の顔に何かついてる?」
「いんや」
「あ、そう」
……てな訳で、正式に家族が1人増えた訳ですが、この家は何人まで受け入れるつもりなのだろうか、気になるところだが、俺と美鈴は学校が待っている。今日も1日が始まった。
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