07/09/23
神サマの忘れ物 最終話
『彼女とぶつかった老人、その人が落とした大切なものは彼女が持っている。俺は神様と名乗る人物と出会いお遣いを頼まれる。そこで手に入れた三つの能力。俺の存在を受け入れてくれた彼女。して俺は彼女の家に転がり込むことにした。……そして俺は人と100回話すと消えてしまう……ただ、そのときはもう間近だ』
「さっき、俺の息の根を止めるって言ったよなぁ。残念だがそれは無理だ……俺は絶対に死なない、特に命の大切さも知らないお前らなんかには俺は殺られない!」
俺は徐々に三人に近寄っていく。三人はそれに合わせて後退りをする。
「き、貴様は何者だ……!」
胸倉を掴んでいた男が動揺しながら言った。
「俺か?」
俺は手をパキパキ言わせながら答える。
「俺は……彼女の……」
俺は言葉が詰まった。何故かうまく話せなかった。
「彼女の親友だぁ!」
そのまま、助走を付け胸倉の男に一気に近づいた。
「この野郎!」
俺の拳が男に掠った瞬間、俺の姿は消えた……てか、消えやがった。あろうことか今のが最後の一回だったのだ。
「な、何だこいつは……」
三人の男は真っ青な顔で美鈴を見た後、一目散に逃げていった。
一部始終を見ていた私であるが、やっぱり涼太君が帰ってしまったことは信じられなかった。私は壊れかけたケージを持って一日中捜し歩いた……もしかしたら――と信じて……しかし、現実はそう甘くは無い。もちろん、涼太君は見つからなかった。
……そして数日後。
私はいつも通り学校に通っていた。元の通りの生活に戻り、何も変哲も無い生活を送っていた。
何事も無く、授業が始まり教室は静寂に包まれていた……のであるが、突然教室の後ろでガラスが割れる音が響き床にガラスが飛び散った。そして、私や先生を含めクラス全員がその方向に反射的に振り向いた。そこには、飛び散ったガラスと涼太君が横たわっていた。
もういないはずの涼太君を見て教室全体が動揺していた。私は立ち上がりゆっくりと涼太君に近づいた。
「おかえり……涼太君」
気付かないうちに目から涙が溢れてくる。
「ただいま、美鈴」
涼太君はそのまま立ち上がり親指を上げて私に微笑みかけてくれた。
「どうして、帰ってきたの?」
クラスがざわめく中、私は涼太君に話しかける。
「あぁそれがな、神様にまたお遣いを頼まれてな」
「どんなお遣い?」
涼太君は割れた窓の外を見て言った。
「『神サマの忘れ物』を取りに来るようにと――――」
これからまた、いつも通りでない生活が始まるのである……
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